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カンタブリア スペイン異端審問(カヤックフィッシング)

11月、勇敢なる釣り人3人組がダブリンからビルバオに向けて出発していた。子供の頃からの夢、怪物級ヨーロピアンパーチを釣り上げるためにスペイン北部に向かっていた。

だが本当に2ポンドを越える「ツチノコ野郎」が釣れるとは信じていなかった。我々はその巨大な魚と闘うため、そいつが住む淡水貯水湖に向かっていた。我々の気持ちはもう湖にあった。

旅行を企画した男、マーチン(Marcin)は去年にそこを訪れており、彼の写真を見て、またそこへ行くなら声をかけてくれと頼んでいた。彼はその翌年また訪れることを心に決めていた。

そして、彼を含む3人組がダブリン空港の出発ロビーに座っていた。

 

ドローン偵察機だ!

 

機内で十分に睡眠を取った後、湿った空気に覆われた雨のビルバオに着陸、そして車で1時間の目的地に向かうことになった。

ここで4人目のメンバーとなる、ロンドンから来たJPと遭った。我らはギアを宿泊施設に降ろしてから、カヤックフィッシングでの冒険の準備に取り掛かった。

子供の頃の夢でしか出会ったことのないモンスターパーチを追いかける5日間がいよいよ始まる。焦りに駆られてしまった私は、まずドローンを飛ばしてその戦いの場の撮影となった。陰鬱な気分どころか期待と興奮で熱を帯び始めていた。

 

 

パーチの楽園、スペイン北部でカヤッキング!

前日にレンタルしたカヤックを独自の仕様(海図プロッタや魚群探知機を搭載)にチューンアップして、向こう5日間分の準備を整えた翌朝となる夜明け前にはもう湖畔に到着していた。宿泊施設のホストと軽いおしゃべりをしながら情報交換の後に出発した。

昨年にここで釣りをしたマーチンは、湖に怪しいスポットがあることを知っていたので、我らは彼を追っていくことにした。 間もなくして彼が魚をヒット、水面が割れた瞬間、私の脳も壊れそうで、正確に認識処理ができなくなるほどだった。

水面を割って出てきた魚のサイズとは、4ポンド14オンスで樽型のヨーロピアンパーチだ。パーチを湖に戻す前に写真を何枚か撮った。

この体験に後押しされるように、みんなが同じ思いをしたいと釣りにのめり込んでいった。

 

マーチンの初パーチは5ポンド(約2.2kg)あった
昼の半ばにそれが私にも起こることになった。明るい青空の下(釣りの教科書に従った条件とは正反対)、島のそばの比較的水深が浅いところで釣りをしていると、ラインに微弱なアタリを感じたその時、ヒット!
マーチンにそのことを伝えようと電話をした時には、それほどの大物のようには感じなかったが、すぐにそれは姿を見せた。有頂天になり、4ポンド5オンスにもなるパーチを水に戻すまで、数分間は明確に記憶していない。

子供の頃の夢が現実のものとなった。仕事は終わった。

今からはリラックスしながら釣りを楽しむことができる。あいにく、それからの一日と半日間は一匹も釣れなかった。

 

スペイン北部のモンスターパーチと初対面

我々が釣りをしていた広大な湖に、巨大なパーチが本当に生息していた。膨大な水を住処とする巨大なパーチたちの生息数はそれほど多くはなく、新鮮な自然食品の在庫も十分とある中で、我々のちっぽけなプラスチック製の小魚が目立つのは大変なことだ。

今回の旅での平均気温が4度前後、湖を囲む山々も雪化粧をして、冷たくて美しくもある背景のなか、途方もない広範な水域を回らなくてはならなかった。1日10時間ずっとカヤックに乗って、数回のヒットを狙って釣りをするのは正気の沙汰ではないことを分かっていたが、粘り強く釣りをした者にはそれなり報酬があることも知っていた。

私の2日目はボウズ(釣果無し)だったが、JPとジョン(John)がモンスターパーチ勘定口座(釣果数)を開設したのを知っていた。

 

こんな広大な水中から数匹の巨大な魚を探すという、任務の重さを感じてほしい…

2日目は苦い結果に終わったが、3日目にはリールを少し調整してから出かけることにした。ドラグを緩めてドリフトの巻きをかなり遅くすることだ。これにより、はるかに軽いルアーをキャストすることができ、よりリアルなアクションを加えることができるようになった。

釣りの技巧において、10グラムと5グラムには天地の差があるのだ!

出発地点で、島の岬を狙いに行く仲間とは別れることにした。島の反対側の何かに惹かれたと言う以外に説明しようがなかった。

 

パイクパーチ勘定口座がここで開設!

その決断は正しかった。釣れなくなってから少し過ぎたその時、ルアーに小さなアタリがきて、大物をもう一匹釣り上げることができた。

5ポンド2オンスとは、アイルランドの記録に届きそうな重さだ。

撃、興奮、驚き、安心を同時に感じるようだった。

こんな魚は見たことがなかったし、しばらくはもう見ることはないだろうと思った。だが違った!

1時間もしないうちに同じぐらいの2匹目の大物がカヤックに横たわることになった。私は興奮して釣りを続けた。その後でパイクパーチが数匹釣れたが、モンスターヨーロピアンパーチはもう釣れなかった。

3日目にはここの水域を「把握」してきたことに満足を感じ、次の数日は何が来るのだろうかと我々の気持ちも高ぶっていた。

 

 

5ポンド2オンスの子供の頃の夢を手中にして

4日目、折よく風が吹き荒れてきた。かなり酷い。そんな状況の中で我らは陸で立ち往生することになった。風速80kmを上回ると安全面から、施設のホストに水上に出ることは禁じられた。がっかりだ。最後の2日間は陸釣りに適したところを探したり、お茶を飲んだりして、団欒の時を過ごした。ゲームが終わった。

一度美味しい思いをしたら、もっと欲しくなると感じていた。

その後、ツアー主催者が2日間分の払い戻しが良いか、次の機会の無料チケットとして付けておくか、機知の効いた提案をしてくれた。

 

我々はまた来年まで、と答えたのだった…。

 

 

ゲイリー・ロビンソン(Gary Robinson)
アイルランド・ゴールウェイ出身
ゲイリーはアイルランド東海岸の海辺の町で魚釣りと共に育った。淡水と海洋生物学の研究の合間に時間を見つけては、隈なくアイルランドを旅行してカヤックフィッシングに没頭する。どんな釣り竿や釣り方もこなせ、来る魚はどんな魚でも釣ってしまう(水面にヒレが出ているものはすべて…)完成されたオールラウンドアングラーです。